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Touch me if you can... 展

上沢かおり (art cocoon/director)


東亭の絵画作品は、自らの撮影した写真の上に、撮影時に心身でうけた記憶を描き重ねて、磨き上げることで創られます。最初に印刷物で見たときの彼の作品の印象は、淡くやわらかな色調のどこか日本画を思わせる湿度感でした。次に実物をみて、つやつやと光沢のある硬質で透明な絵肌の質感が、第一印象とあまりに異なるのに驚き、その不思議さにひきこまれました。

空にまう雲は刻々と姿をかえ、おりおりに何かのイメージや感覚が呼び覚まされ、また消され…

「Float」は、砂漠で蜃気楼をみて、それを追いかけ、ふれようと手をのばすような感覚、なにか人生そのものの縮図、その闘いがそのまま彼岸でもあり希望でもあるような福音を感じさせてくれる作品です。初の映像作品は、水泡のイメージがポップさと詩情性をたたえて、美しく展開されます。

*ソウルコンテナ-e<vol.59>Nov.2より

天窓に設置された作品はアートコクーン始まって以来、初の試みです。東亭は、何度も下見に来ては、天窓を見ていました。彼だけでなく、この窓から見える青空を楽しみにきてくださるお客さんはとても多かったのです。設置された翌朝、私はその布製のステンドグラスの光を受けて、どこか聖なる空間にいるように感じられました。やはりアーティストはマジシャンです。マティスの晩年の作品、ヴァンスのロザリオ礼拝堂を思い出したといっても、主観的な体験としては、決してオーバーではありません。


*ソウルコンテナ-e<vol.60>Nov.11より
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